焼きおにぎり

昔のお話です、どのくらい前かは誰も知らないのですが、ある高名な御坊様が道行く一人の疲れた若者に尋ねたそうです、
『何故そんなにも辛い顔をしているのか』
若者が答えます
『色々と試してみましたが薬が効きません、私のこの切ない想いはどのようにしたらいいのでしょうか、明日は都に着きます、そこで私は大きな仕事が待っているというのに…』

この若者恋の病に落ちたと気がついた御坊様、若者の手を取り『手を合わせなさい』そう言いながら御坊様其の手をそっと優しく包み『私が特別な薬を処方してやろう、目を開けるでないぞ』
そしてやがて御坊様自分の手を若者の右の肩に触れ、やがて左の肩、そして背中。
『目を開けるでないぞ、ワシを信じてこれを食べろ』出したのが焼きおにぎり、それを食べた若者は久しく忘れていた爽快な気分を味わい、都に出かけていったそうです。

手当と言う言葉があります、お給料のことではありませんよ、治療のことを手当と言います、どんな薬より人の持つ優しさと想いは心をを和ませてくれます、手と手が触れ合うことは幸せな時を意味し、時に摩訶不思議な力を出してくれます。疲れたときに其の手で握ってくれたオニギリ、美々救心、一期一会ですね。そしてその想いが詰め込まれたオニギリを更に炭火で、醤油の薫りに包まれた焼きおにぎりにして食べる、ここに愛を感じてしまいます。

作り方

暖かいご飯を人肌ほどに冷ましてあげます、
そしてここでは出来れば俵型ではなく、三角型のおにぎりで少し小振りがいいですね。
優しく、決して固く握ってはいけません、かといって柔らかすぎるのは御法度。
炭火で焼けたら一番いいのですが、ご家庭では魚を焼く網でしかも下に金属製のプレートが付いてる物でなければ駄目です。どうしても無ければガスレンジの魚を焼くグリルで良いでしょう。
じっくりと遠火で少し表面が乾いたら優しく、薄くお醤油を塗ってあげましょう、二回に一回は奥様に、次にお子さまに、決して鍋奉行ならぬ、塗り奉行にならないでください。みんなで、こまめに、大切に。
後はあの若者のように元気が沸いてくることを感じましょう。家族を感じましょう。
おにぎりそれは確かめ合うグルーミングのような物ですね。

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