ふと想いだす時があります。 瞬間湯沸かし器が、我が家に届いたのは、 昭和の四十三年、 母の念願がかない 霜焼けの手をさすりながら、父が点火した。 確かクリスマスに届いた湯沸かし器のはずなのに。 以来私は、 その点火窓を覗くと何故か、 春、桜の花の舞う季節 父と母のあの日のことを思い出す。 齢を重ねた母なのに何故か、 私には今でも若い母のままでいる。
そして、 『暖かいのぉー、母さんよー』 父の声が遠くの空から 聞こえてくるのです。