2003年4月号
春爛漫の桜坂

ふと想いだす時があります。
瞬間湯沸かし器が、我が家に届いたのは、
昭和の四十三年、
母の念願がかない
霜焼けの手をさすりながら、父が点火した。

確かクリスマスに届いた湯沸かし器のはずなのに。
以来私は、
その点火窓を覗くと何故か、
春、桜の花の舞う季節
父と母のあの日のことを思い出す。
齢を重ねた母なのに何故か、
私には今でも若い母のままでいる。

写真家 村上宏治
写真家 村上宏治


そして、
『暖かいのぉー、母さんよー』
父の声が遠くの空から
聞こえてくるのです。

写真家 村上宏治
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