2004年9月号
秋の初めの 浅き夢みし 酔いもせず
すでに時間は何十年も過ぎたのに、
不思議なものですね、
この時期になると何時も決まって思い出すことがあります。

あの日、父が何を思ったか突然に飯盒(はんごう)を
夏のキャンプ道具から引っ張り出し、
私たち兄弟と母をガスレンジに集め、
ご飯を炊き始めました。
あれはまだ私が小学生の2年生だったでしょうか。
父が何を言いたかったのかは、
いまだ分からないのですが、
暖かい熱気と、
あのブルーの噴出す炎がやたらに印象的でした。
写真家 村上宏治
その飯盒で炊いたご飯の美味しかったこと。
飛びぬけてのご馳走はなかったはずですが、
子どもながらに、父と母に、兄に守られている安堵した時間だったように思います。
家族という時間の流れの中に欠かすことのできないのは、
母が台所に立ち、踊るなべのフタと火の調節、口やかましい父の小言。
子どもが子どもでいられる時間と空間。
私は何故かこの時期になるとガスレンジの炎に目がとまります。
今年もあとわずか、先ずは父の小言を思い出し
今年一年の反省と大掃除の心つもりをしなくては。
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