写真家 村上宏治
2004年8月号
炎に心を託し

日本人の心の中に脈々と流れる心の連鎖
それは受け継がれた、ものへの感謝
生きとし生けるものへの感謝ではないでしょうか。

四月から五月に変わろうとしているある日
お茶人たちが集まり厳かに儀式が始まりました。

露滴庵下の庭園に作られた釜に、
一年間使った茶筅に感謝と
茶道への精進を誓って茶先供養をいたします。

茶釜の火を取り、
和紙に包まれたその茶筅を
丁寧に丁寧に炎の中に入れます。

日本人の心の中に、炎に対する独自の観念があります。

炎によって清められ、ものの哀れを感じ
炎によってまた別の魂を授かるという考え。
それは時に心の描写にもしばし出てきます。

   源氏物語の柱になった歌
     独りゐて こがるる胸の苦しきに
       思ひあまれる炎とぞ見し

炎は日本人の心の支え、
そして 炎は日本人の感性そのものなのです。
写真家 村上宏治
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