2004年8月号
鞆の奇祭・御手火

朝鮮使節団が立ち寄り、
北前船の 潮待ちの港として名高い鞆は、
坂本竜馬が身を寄せて
日本の新たなる夜明けを ここでじっと考えた。

宮城道雄の『春の海』も この地で生まれた。
明治の維新を、明治の群像を じっと見てきた町、
それが鞆の浦であった。

沼名前神社は鞆の、その町中にある。
夏の一夜のこの祭りは
燃え盛るたいまつを神にささげる奇祭だ。

その火を持ち帰り、 食事を作ると健康になり、
風呂を沸かすと清められ、
たいまつを持つと、願いがかなうと言う。

写真家 村上宏治
火とは 炎とは神そのものと人は想いうやまう。
人は炎を手にしたその時に、愛情と言うものを手にすると言う。
守るべき者を、 守るれる力を授かりたいと願い、 若者はこのたいまつを 持ちきると言い切った。
恋心を寄せる相手なのか 隣で心配そうに見る 若い女性の眼差しが眩しかった。
私にはこの炎が熱いと言うより、 むしろ湧き上がる何かを感じ、 心地よかった。
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