少女《おとめ》の席 少女《おとめ》の席 薄茶… 裏千家(淡交会尾道支部)
少女《おとめ》の席
あらすじ
源氏三十三歳〜三十五歳
源氏の嫡男夕霧は十二歳で元服(げんぷく)。位は四位かと思われていたが(名門の子弟は五位が普通)源氏は六位にとどめ、大学に進ませる。夕霧は学問に励み次々に試験に合格し、期待に応える。 宮中では源氏の後見する梅壺女御が立后(秋好中宮)。これに伴い源氏は太政大臣に、大納言(昔の頭中将)は内大臣に昇進する。娘の弘徽殿女御(こきでんのにょうご)が立后のかなわなかったことが残念な内大臣は、女御の妹雲居の雁(くもいのかり)を東宮妃にと思い、その幼なじみの夕霧と相思の仲を裂く。

十一月の新嘗祭(にいなめまつり)の節会(せちえ)に五節(ごせち)の舞姫に選ばれた源氏の乳母子(めのとご)惟光(これみつ)の娘を垣間見た夕霧は、雲居の雁との晴れぬ心を慰められる思いで歌を詠みかける。──巻名はこの歌詞による。──
源氏は傷心の夕霧を花散里に預け、後見を依頼する。

翌年八月、源氏がかつてから六条の京極あたりに造営していた大邸宅が完成。広大な土地を四つに区分、それぞれに四季の庭が配されている。東南の春の町には源氏と紫の上、秋を好む中宮は西南の秋の町に。東北の夏の町には花散里がはいり、やがて明石の上も少しおくれて西北の冬の町に移る。

九月に里下りした秋好中宮は、美しい紅葉や花を筥(はこ)の蓋に入れて、秋の風情は春に優るとばかりの歌を添え、童女を使いに紫の上に贈る。紫の上は、春には必ずこのお返しをせねばと心をときめかす。
春秋いずれが優るか、その優劣を争うことは伝統的な風雅な遊びである。やがて紫の上は胡蝶の巻でそのお返しをする。
少女(おとめ)
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