いつか来た道・中華そば編
なぜ、飲んだあとにはラーメンが食べたくなるのか
 同僚とお酒をはしごして、もう帰ろうかというとき、ふいにただよってきたラーメンのにおいにつられて、ラーメン屋に入ってしまった。友達と家で飲んでいたら、急にラーメンが食べたくなって、みんなでラーメン屋まででかけた。

 べつにラーメン好きではなくとも、酒好きなら、一度や二度は、こうした経験があるはずである。  飲んで食って満腹のつもりでも、なぜかラーメンだけは別腹とばかりに食べられるもの。しかも、いつも以上においしく感じられたりするのだが、お酒を飲んだあと、むしょうにラーメンが食べたくなるのは、じつは生理学的に、もっともな話なのだ。

 ラーメンのスープをトンコツでとる店は多いが、秘密はこのトンコツにある。トンコツでダシをとったスー プは、イノシシ酸を多く含んでいる。このイノシシ酸、じつは、アルコールを中和する働きがあるのである。

 つまりお酒を飲んだあとラーメンが食べたくなるのは、体がイノシシ酸を欲しているということ。ラーメン のスープからイノシシ酸を取り入れることで、体内のアルコールを中和しようというわけだ。お酒を飲んでい ないとき以上にラーメンのにおいにひかれたり、ラーメンをおいしいと感じるのもそのためだ。

 同じラーメンのスープによくつかわれるダシとして、トリガラもあるが、トリガラからでるのは、アルコー ル中和作用のあるイノシシ酸ではなく、グルタミン酸だ。だから、アルコールを中和しようと思ったら、トリ ガラスープを売りにしているラーメン屋よりも、九州ラーメンのような、トンコツ味を売りにしているラーメ ン屋のほうがいいということになる。

 今度お酒を飲んだあとラーメンを食べるとき、トンコツスープとトリガラスープと、どちらをよりおいしく 感じるか、試してみてはどうだろう。

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