トリスバーへようこそ
今では聞き慣れないが、このバーとは、先だってあるバーテンダーに聞くことができた。なぜバーなのか。本来バーの持つ意味合いは、背の高いカウンターがあり、8人もそのカウンターにつけば一杯で、一人のマスターがその客たちの日々の心と体の垢を、やさしく酒で洗い流してあげる空間。そして最も大切なのはある物が必ずなければいけない。これがないとバーとは言えない。

それは西部劇を想像してほしい。馬に乗った荒くれどもが店に前に着くと、馬のタズナを引っかけてゆっくりと両開きの扉を開けてカウンターに来る。そこで一杯ひっかけるわけだが、やがてその時代も過ぎ、その荒くれどもの気質を引き継いだ店だと主張するために、馬のタズナをひっかける丸太を意味した真鍮のパイプをカウンターに取り付けることになった。これがバーの証であり、バーの心意気である。そして荒くれ男たちの気質が港に出ると、海の男たちはそのカウンターのバーを止まり木と称し、やがて心の港としてこよなく愛することになる。

いつしかそんなことも忘れ去られ、そしてバーは無くなっていった。


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