神龍は深泉に蔵れ、猛獣は高岡に歩む。〔曹操「却東西門行」〕
来尾した当初について、多くは語られていませんが、和作は失意のどん底にいま した。そこには孤独感が横たわり、自己との対話を迫られました。しかしこの孤独こそが、画家・小林和作を誕生させたのではないでしょうか。その後の活躍ぶりは、多くの方々が語られるよう天衣無縫の大人として、また、名のごとく人の和を作る達人でもありました。 古くから尾道に伝わる龍の民話があります。大筋では、次のような物語です。尾道に静かに暮らしていた龍が、人々にあれやこれやと頼まれ過ぎて、面倒になったので、曼荼羅堂の和尚に相談をしてみるが、結局、名残惜しみつつ、天へ帰っていくというお話です。 仏教の聖典よれば、「龍」とは煩悩の尽きた心のことであるといわれています。わが身の足下を掘り進んで行けば、ついには、この龍を観ることになると説かれています。和作先生は、この尾道から、「龍」への旅に逝かれたのだと想います。 |
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